華麗なる貴族社会

 現在放映中のNHK海外ドラマ『ダウントン・アビー~華麗なる英国貴族の館』を見ました。今まで様々な英国貴族ものの映画やドラマを見たり本を読んだりしてきましたが、いつも思うことがあります。ああいったいわゆる上流社会は一見華やかで浮世離れしたような印象がありますが、結局根底にあるものは”庶民”と一緒なのではないかということです。嫉妬や羨望、欲、恐れと不安、自己顕示、恋愛、家族愛、喜び、悲しみ。どの国のどんな地位や階級にいる人でも、人間である以上は本質的に他と変わりがなく、抱く感情も同じようなものであるのだと思います。ただ、身にまとう衣装や住んでいる環境、言葉遣い、動作や表し方が異なるだけで。

 美しいドレスに身を包み、連日連夜パーティ三昧、仕事をしないことが「仕事」。ベルサイユのばらに出てくるような華やかな王侯貴族社会に、私も子どもの頃は憧れを抱いていたものです。しかし実際は、位が高ければ高い程、その分自由もなかったはず。行動も制約され、結婚相手も自分で選ぶことは難しかったかもしれません。身の回りのことは全て他人任せで、自分を着飾りよく魅せることに注力し、社交界での身の振り方を常に気にしながら生活することなど、果たして本当に楽しいものだったのかどうか・・ダウントン・アビーに出てくる人々も、地位や財産に縛られ、とても窮屈そうです。今は、そんな人生を羨ましいとも送ってみたいとも考えなくなりました。

 この世で何よりも尊いものは、「自由」なのではないかと思います。制限がなく、心から自分が望む人生を送る。そんな人生こそが、最も豊かで幸せなんじゃないのかなあ、と思います。