『小公女』に学ぶ引き寄せの法則(実践編)

 本屋さんに行くと、「引き寄せの法則」に関して書かれた本がたくさん置かれているのを見るようになりました。「引き寄せの法則」は、今から何十年も前から提唱され続けてきたことですが、ここ最近、この法則を自分の体験として実感する人が増えてきているために、本もたくさん書かれるようになったのではないでしょうか。

 まず「引き寄せの法則」を簡単にまとめてみますと、以下のようになります。

 

〇この世に存在するもの(動植物・物質・思考・意識も含む)は全て、特定の周波数の波長を出している

〇同じ波長を出しているもの同士は引き寄せあう

〇現実となって起こっている出来事は、自分の心(波長)の表れである

 

 非常にシンプルですが、このような法則が宇宙にはあり、「引き寄せの法則」と呼ばれています。人間関係に当てはめてみればわかりやすいと思います。「類は友を呼ぶ」という言葉がありますが、私たちは、自分の出す波長と似た波長を出す人と一緒にいると”居心地が良い”と感じるため、自然と同じようなタイプの人同士が集まるようになります。反対に、波長がまるで異なる人と一緒にいると、お互い何となく居心地が悪く感じてしまうので、仲良くなることはありません。昔は気が合っていた友人でも、時間がたって久しぶりに会った時、なぜか以前のようにはウマが合わないなあ、と感じた経験はないでしょうか。人は刻々と変化している存在なので、波長もその都度変化し、引き寄せあう人も変化していくものなのです。

 

 引き寄せの法則は、人と人との間だけに適用されるものではなく、人と動物、人と物質、人と環境といったように、ありとあらゆることに通じる法則です。例えば、いつもポジティブで幸せな波長を出している人の所には、ポジティブで幸せな事象がやってきます。反対に、いつも不平たらたらで自分の不幸を嘆いているようなネガティブな人の元には、そうした波長に見合った望ましくない不幸な出来事ばかりがやってきます。

 恋をしていると良いことが起こる、というジンクスがありますが、これは恋をするとワクワク楽しい気分になるため、そのようなポジティブな波長に応じたラッキーなことがやってくるのです。

 このことから、もし自分の身に起こる出来事や今の環境を変えたかったら、自分の心を変えれば良いということになります。

 

 児童文学の傑作『小公女セーラ』は、小学生の頃から何度も何度も読み返してきた私の愛読書です。昔から多くの人々に読み継がれてきた物語には、真理のもつパワーがあると思います。

 主人公のセーラは、位の高い軍人の父親(母親は幼い頃に他界)と離れ、ロンドンのお嬢様学校の寄宿舎に入ることになります。裕福なセーラは学校でも特別扱いを受ける特待生でしたが、決して偉ぶることなく、立場の弱い人にも親切に振る舞う少女でした。ところが、ある時セーラの父親が出張先のインドで亡くなってしまいます。その時からセーラは全ての財産を没収され、学校の下働きとしてこき使われるようになります。

 ボロを着せられ、寒く汚い屋根裏部屋で寝泊まりをし、あらゆる雑用を命じられ、プライドを傷つけられても、セーラはある1つのことを貫き通します。それは、「どんな時でも自分が公女様であると思い、そして公女様であるように振る舞うこと」ということです。使用人達に意地悪をされても決して気高さを失わず、いつも丁寧な言葉を話し、礼儀正しく振る舞います。卑屈な学校長から態度が生意気だとぶたれても、「この人は、私が公女様だということを知らないのだわ。どんなに自分が不作法なことをしているかわからないのだ」と考えることで心の均衡を保ちます。

 ある時、お昼ご飯を与えられずお腹を減らしたまま買い物に出されたセーラは、道端に銀貨が落ちているのを見つけます。その銀貨でパンを買おうとパン屋に行ったところ、お店の前に、ボロボロの服を着た、自分よりもはるかに飢えていそうな少女が座っているのを目にし、セーラは動揺します。普段からろくな食事を出されず、ひもじい思いをしていたセーラでしたが、「もし私が公女様だったら、いくら位を追われて貧しかったとしても、自分よりも貧しくてお腹を空かせている人には食べ物をあげるものだ」と考え、買ったパンのほとんどをその少女にあげてしまうのでした。

 そんなことをしているうちに、ある奇跡が起こります。内容は省略しますが、最終的にセーラは、亡くなった父親と共同で事業を興した紳士に身元を引き取られ、以前よりも裕福になるというハッピーエンドで物語は終わります。

 

 セーラはまるで引き寄せの法則を知っていたかのように、ポイントを押さえた行動をしています。まず、引き寄せの法則において自分の望む事象を引き寄せたいと願う場合、「初めにその夢がもう既に叶ってしまったと思い込む」ということが大きなポイントになってきます。

 例えば、自分が幸せな結婚をしたいと望んでいるとします。たとえ今そのような気配すらない状況だとしても、最初に「自分はもう幸せな結婚をしていて、素敵な旦那さんがいる」と思い込むのです。そして具体的に想像してみます。どのような家に住み、どのような性格の旦那さんで、どのような暮らしをしているのか。なるべく詳細に、自分が理想とする状況をイメージします。今自分がその環境に身を置いていると思い込まなければいけないので、間違ってもお友達に「まったく良い出会いがなくてー」などと愚痴ったりしてはいけません。

 サッカーのなでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝した時に、キャプテンの澤選手はインタビューで、「自分が優勝カップを手にしている姿をいつもイメージしていた」と語っていました。イメージできているということは、宇宙空間のどこかにその状況が造り出されているということです。あとはその状況を自分に引き寄せればいいだけなのです。

 そして、引き寄せパワーを強めるためには、「強く信じる」ということが重要になってきます。最初のうちは、今までの経験からつい「いや、そんなことあるはずがない」とか、「もし叶わなかったらどうしよう」といった否定的な念が湧いてくるかもしれません。でも、そんな思いにエネルギーを注いでいるうちは、決して望みが叶うことはありません。どんな逆境があったとしても、とにかく宇宙と自分を信頼すること。これがポイントの二つ目です。セーラは、どんなに過酷でみじめな境遇に陥っても、自分の心の中では常に公女様であり続けました。打たれても打たれても、決してその心は折れることがありませんでした。諦めたら、その時点で負けてしまうのです。

 三つ目のポイントとしては、「イメージを繰り返し繰り返し思い浮かべる」ということがあります。自分の身に起こっていることは、まず自分の意識の中で初めに思い浮かべています。「そんなこと思い浮かべたことはない」と思うかもしれませんが、自覚できている意識は、全体意識の中のほんの1割程度に過ぎません。あとの9割の意識は普段知覚していない深層部分にあり、現実化していることというのは、実はこの部分の表れなのです。

 ですから、もし自分が望む夢があったとしたら、表層意識だけでなく、潜在意識とも呼ばれる深い意識の層にもその願望を刷り込ませる必要があります。そのためには、とにかく繰り返し繰り返し願望をイメージして、意識に植え付けることが重要なのです。一日のうちで、もしボーっとしている時間があったら、その時間をこの意識の植え付けに使うと良いでしょう。回数が多ければ多い程効果が出やすいです。願望をイメージするととても楽しい気分になり、それに引き寄せられて楽しいことがやってきますから、一石二鳥です。

 夢が叶っている状況を思い込むということは、「もう自分はそれを手に入れていてハッピーだ」という波長を宇宙に向けて放つことになります。宇宙には同じ波長のもの同士が引き寄せ合うという法則が働いていますから、心から自分の願望を信じ、その波長が自分から発せられた時に、宇宙からその願望が”現実”という形となってやってくるのです。

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