手放し方がわからない時

 フラワーエッセンスを飲まれている方や、ご興味を持たれている方は、もう既にご自身の中にどのような思いや感情があって、どれを手放したいと考えているか、といったところまで気づいていらっしゃる方がほとんどだと思います。

 セッションなどでも時々聞かれるのですが、自分の中に、いろいろな思い癖やトラウマ、しつこい感情などがあるのはわかっているのだけれど、じゃあそれをどうやったら手放すことができるのか、と疑問を持たれている方も多いようです。具体的な手放し方がわからないということです。

 

 

 前に進もうとする自分の前に立ちはだかる、感情のブロックやネガティブな思考パターン、信念などを手放したい時。

 

 あらゆるケースにおいて共通していることは、まず最初に、それらの存在に「気づく」こと。単純なことに思えるかもしれませんが、何よりも重要で大切なステップが、これです。なぜなら、何かを手放したい時、そもそもその存在に気づいていなければ、そこに光を当てることさえできないからです。気づき、気づき、気づき・・

 魂の目覚めは、これの連続に他ならないのではないかとすら思えます。

 

 気づくことは、そこに焦点を当てるということ。そして、自分を客観視していなければ、自分の内面に何があるかなど感じることができませんから、気づいているということは、感情や思考と自分とを切り離してとらえられている、ということです。感情や思考に飲まれている状態、つまりそれらと「自分」が一体化している(と思い込んでいる)状態から一段階進んでいるのです。

 周りを見回してみて、悪しき感情や思考に苦しんでネガティブなループにはまり込んでしまっている人の多くは、自分を苦しめている元凶が自分の中にあるなんて、考えてもいないのではないでしょうか。それで、自分が苦しんでいるのは○○のせいだ、と、自分以外の何かのせいにしているのではないでしょうか。

 残念ながら、そのような心の持ち方であり続けているうちは、その苦しみから解放されることはなく、むしろ苦しみはどんどん大きくなっていくだけです。心のお荷物を外してそこから解放されるためには、まずは自分を縛っているものが何なのかということに気づいて、それを手放そうという意思を持つことが必要になってきます。

 

 そうです、「気づく」という段階が最初のステップだとすれば、次に「手放そう」という意思を持つこと、これが次のステップになります。

 

 これもまた単純なことのように思えるかもしれませんが、私は今まで、自分も含め多くの方がこの段階で躊躇している姿を見てきました。たとえそれが自分を苦しめ続けている元凶だったとしても、長い間自分の中にあって大きな影響力を与え続けてきた思い癖や信念を手放すためには、かなり大きなエネルギー(強い意思)が必要なのです。そこから解放されたら楽になることはわかっているのに、なぜか、それを手放すことをためらってしまうのは、自分の中のどこかに、『現状維持でいることが安全だ』という思いがあるからです。

 過去に、自分が誰かの庇護下にあったり、大きな権限を持つ人に逆らうことができない環境に身を置いていた時には、自分の望みや考えを押し殺して周りに合わせることが、生き残るための最善の策だったかもしれません。そして、いつの間にか自分の本当の気持ちや望み、思いを封印することが当たり前のことになってしまい、そうすることがむしろ正しいことだ、とさえ考えてしまいます。自分以外の誰か(その時強い権限を持っていた人のことが多い)の考えや意見が未だに強い影響力を持っていて、それを無意識レベルで受け入れ、自分と同化してはいないでしょうか。過去においては、自分の心を封印して他人の考えに合わせることが、自分を守るための手段だったかもしれません。けれど、他人から押し付けられた考えが本当に自分にとって「正しい」ものなのでしょうか。むしろそこにとらわれている状態がブロックとなり、本当の自分として生きることを妨げているのではないでしょうか。

 

 私も長い事、身近な大人たちや、自分に強い影響力を持つ人々の思考や感情を拾って、それに合わせて生きてきました。そうすることが必要だった時代もありました。けれどある時、誰かの考えや意見に合わせて生きているうちは、本当の意味で自分が幸せになることはできない、ということに気づいたのです。何かに縛られている状態では、真の自由を感じて生きることなんて無理です。自由になりたい、解放されたい、心の奥からそう叫ぶ声が聞こえてきました。

 この段階が、最初の‘気づき‘です。そこから、「自分を解放する」と本気で意図するまでの間、確か2~3年くらいかかったように思います。それくらい、決心するまでに躊躇していました。それは、自分が自分らしく生きることで、誰かを傷つけてしまうのではないかという思いがあったのと、自分に正直に生きることで、親しかった人が離れていくのではないかという恐れがあったからです。周りから変な目で見られたり、批判されることにも強い恐怖心がありました(この恐れは今でも少しあります)。つまり、葛藤に苦しんでいたのです。

 この葛藤を打ち破って、過去の思い込みから自分を解放することを強く意図できるようになった頃、徐々に様々なところからサポートがやってくるようになりました。自分の中から迷いがなくなっていくのと、自分が解放されていくのと、同じタイミングで起こっていきました。やはり、自分の意思が現実を形作っているのだな、と身をもって感じたものです。

 

 

 大きな恐怖心を植え付けられる出来事を経験している場合にも、その時恐怖心と同時に抱いた様々な思いが、パターン化して未だに無意識化に巣くっていることがあります。恐怖心とは、権力者がマインドコントロールの手段として用いることがあるように、人をある思いに縛り付けたまま、そこから逃れられない心理状態にさせる力があります。膠着状態をキープさせる糊のような働きをします。

 もし、自分が進みたい方向があるのに、なぜかそれがうまくいかない、何かがブロックしているような気がする、というのであれば、次のように自問してみてください。

 

「あなたが望む現実の妨げとなっている、一番大きな恐れは何ですか?」

 

もしくは、

 

「あなたがそれを手に入れた時に、何を失うのを恐れていますか?」

 

そして、

 

「その恐れは、真実ですか?」

 

 本当はそれを望んでいるのに、何かを恐れているがために、それが現実化するのを邪魔しているのであれば、まず最初にその恐れを手放す必要があります。ここでも、「気づき」そして「意図する」こと。恐れに捕らわれている最中は、その恐れが真実であると思い込んでいるのですが、一度冷静な視点で恐れを見つめてみると、多くは根拠がなく、事実でもないことがほとんどです。

 

 

 私はこれまで自分の中にある様々な恐れやトラウマ、思い込みに向き合い、一つ一つ解放していくという作業を繰り返しやってきました(今でも毎日やっています)が、本当に、一度そこに焦点を当てて自分をそこから解放してみると、「私は一体今までなぜこんなつまらないことに縛られていたのか」と笑ってしまうことがほとんどです。それくらい、思い込みというのは大きいようで、いざ解放されてみると価値がないものばかりで拍子抜けしてしまいます。

 

 本当に、ただそこに気づくだけで自由になれるのかと疑問に思うかもしれませんが、本当です。試しに、自分を一度客観視してみて、今自分が苦しんでいる感情があったとしたら、そこに焦点を当ててみてください。とりあえず、その感情だけにスポットを当ててみるだけで大丈夫です。もしくは、今自分を苦しめている、モヤモヤした思考でもいいです。ただ、「あ、今自分の中にこれがあるな」と認識してみてください。

 そしてしばらくしてから、その感情や思考をもう一度外から眺めてみてください。少なくともそれは、以前に比べてかなり勢力を失っていると思います。いきなり消えてなくならないにしても、最初に感じていた時よりは、小さくなっているはずです。そして、またしばらくしてからもう一度外側から自分を眺めてみたら、また更に小さくなっていると思います。感情や思考は流動的で、行ったり来たり、大きさも変動します。そこに捕らわれ続ければ、火に油を注ぐが如く、肥大化していきます。その反対に小さくしたければ、冷静な視点で眺め、それは「自分ではない」と気づくこと。自分と感情・思考を切り離して考えることがポイントです。

 

 こうした作業に慣れていけば、思考や感情に極端に苦しめられることも減り、だいぶ楽になると思います。そして、そもそも悪しき感情を生み出す元凶となっているものは何なのか、更に踏み込んだステップに進むことができるようになります。作業のやり方は同じです。ただ気づき、手放そうと意図すること。私達の意思の力は絶大なので、ただ意図するだけで、エネルギーがそっちの方向に動き出します。

 恐れや悪しき感情の出どころとなっている根っこの部分が解放されれば、もうそこからネガティブな感情が湧き出てこなくなりますので、精神状態のアップダウンがグンと減っていくことでしょう。