数年前、初めてバッチ博士のフラワーレメディ38種類セットを買った時、
「この中で、一番最初になくなるのはどれだろう」
と思いました。なくなるのが早いもの、つまり使用頻度が最も高いものはどれなのでしょうか(あくまで私が使う範囲でですが)。
一番最初になくなったのは、「ホリー」(西洋ヒイラギ)でした。ホリーは、
『怒り・イライラ・嫉妬・妬み・恨みといった、ネガティブで攻撃的な感情を和らげる』
レメディ(エッセンス)です。ホリーはとげとげした葉っぱの形状からも、ピリピリと外側に向かう攻撃的な感情を彷彿とさせます。
考えてみれば、私もかつてはこのホリーにだいぶお世話になりましたし、家族1人1人に作るボトルにも大体これが入っていますし、お客様にエッセンスを選ぶ時にも、ホリーはよく登場します。日本人は感情を押し殺す傾向があり、特に怒りを表に出すことは幼稚な行為ととらえられるふしがあります。だからでしょうか。一見、怒りを内に秘めているようには見えない方でも、心の内に長年蓄積してきた怒りを抱えていて、他人に批判的だったり、絶え間ない思考のおしゃべりに苦しんでいたりします。自分が怒りを抱いているということを無意識レベルで否定していると、出て行く場所を失った感情が、内面に渦巻いてストレスとなります。
怒りをためやすい方には、完璧主義者が多いようです。また、物事に対して「こうあるべき」とか「こうしなければいけない」といった固定観念が強い方にも多いです。私もかつてはそうでした(今でも少し完璧主義な傾向はありますが)。自分の中に理想像が常にあって、”そこ”にたどり着くために努力をしなければならない、という強迫観念的な思い込みがありました。より高いレベル、より理想に近いレベルまで達成するために最善の努力を尽くすことが、自分に課せられた義務であるかのように感じていました。時には、突っ走り過ぎて周りが見えなくなることもありました。休むことよりも動くことを優先しすぎて体を壊すこともしょっちゅうでした。また、「こうあるべき」「こうしなければいけない」という思い込みが強かったため、そういった考えに縛られて、時には自分の本当の望みや思いに目を背け、本心とは異なる選択をすることも多々ありました。それは、ひどくストレスを感じるものでした。
それから、自分が思い描く理想像や固定観念に執着するあまり、自分とは異なる生き方や考え方を否定する癖がありました。受け入れられない他者の言動を見るにつけ、”怒り”が湧いてきました。また、自分を否定されたときも同じでした。「こんなに頑張っているのに」、「こうあるべきなのに」、どうして認めてくれないのだろう。どうしてこの人はこうしないのだろう。
他者に対して攻撃的な感情を抱く背景には、そもそも自分が”完璧じゃない”ことに対する罪悪感や、自己否定的な思いがあったりもします。人は、自分が一番気にしていること、自分が最も劣等感を感じている部分、負い目があることなどをズバリ指摘された時ほど、感情的になります。エゴが反応するのです。エゴは、物事に優劣や序列をつけ、そうした観点で人や状況を判断しますから、「自分が他人に比べて劣っている」とか「完璧ではない」という事実を認めたくなくて、代わりに他者を非難したり、見下したり、自分に否定的な意見を拒絶したり、怒りで人を威嚇したり、自己弁護をさせたりします。一種の自己防衛反応です。
心のお掃除をコツコツやっていって、自分の中にあった固定観念や思い込み、古い心の傷、抑圧していた感情、トラウマ、こうしたものを一つ一つ解放していくと共に、私は次第に”怒り”を感じることが減っていきました。様々な物事を受け入れられるようになっていったからだと思います。何か一つ手放すと、自分の中の許容量がポンと広がります。そして、今まで許せなかったことが許せるようになります。赦す=受け入れる、ということです。受け入れられる器が広がれば、その分他人や状況に対してネガティブな反応をすることが減っていきます。
また、それと同時に、自分のこともだいぶ受け入れられるようになってきました。強い自己否定感が和らぐと、いい事があります。それは、現象的に望みが叶いやすくなるということです。私もかつては、自分を否定する癖がありました。望みがあったとしても、それを無意識化でブロックしていたので、なかなかやってこなかったのだと思います。最近は、心から望んだことは本当に叶うのだなあ、と、驚きの体験をたくさんしています。
ホリーを飲むことも、ほとんどなくなりました。時々心がざわつくことがあったら、その時は1人静かなところで、内側に目を向けます。そして、自分の中の何が反応しているのか、じっくりと見つめます。
ホリーは、とにかくイライラしている、なぜだかわからないけれどムシャクシャしてしまう、という時に、取りあえず飲んでみるのがお勧めです。感情の一番外側のレイヤーが外れるので、冷静な視点で現状に目を向けることができるようになります。怒りを爆発させて誰かを傷つけたくない、落ち着いて物事に対処したい、けれどイライラが邪魔をしてそれができない、という方にお勧めの一本です。