感情のコントロール

 オーストラリアンブッシュの創始者イアンさんは、ボランティア活動も精力的に行っていて、例えばブラジルの孤児院にエッセンスを送ったりしているそうです。そこにいるプラクティショナーは、子供達1人1人に合わせたドーセージ(希釈)ボトルを作っていて、それを毎日飲ませているとのこと。

 孤児院の子供達がフラワーエッセンスを飲むようになったら、子供が肺炎にかかる回数が大幅に減ったのだそうです。なぜ孤児院の子供達が肺の病気に罹りやすかったかというと、肺は「悲しみ」と繋がりがある臓器だからです。親がいない子供の悲しみのエネルギーが、肺の病気を引き起こしていたのではないかと思われます。

 

 私達は、悲しみや寂しさが強い時、確かにハートチャクラ(胸周辺)がキュっと痛くなるような感覚を覚えます。感情は肉体に蓄積されますから、長年ため込んだ感情エネルギーが少しずつ肉体を蝕んでいき、ある時具体的な疾患として表出するのもわかります。

 

 感情を抑圧し、内側にため込んだ状態でいると、心が苦しいだけでなく、肉体にもあまり良い影響を与えません。特にネガティブな感情は悪者にされがちですが、肝心なのは、自分がその感情を抱いているという事実を素直に認めることです。1つ1つの感情に「これは良くない、これはOK」と無意識的にジャッジをし、あまり自分が「良い」と考えていない感情がやってきた時に、自分を責め、その感情とそれを抱いた自分を否定する。こんなことをずっと繰り返してきた方は多いのではないでしょうか。否定された感情は行き場を失い、どんどん内側に押し込まれ、抑圧された状態で蓄積されていきます。

 

 そもそも、人間は感情を抱く生き物なのですから、感情があって当たり前、それが自然な状態です。そして、良い感情も悪い感情も本来ありません。感情は感情です。良いとか悪いとか判断しているのは、人の頭(自我意識)です。

 

 ヒンドゥー教の聖典、バガヴァッド・ギーターには、人が心と感情の活動を抑制することの大切さが繰り返し書かれています。人が精神的修練を積むと、次第に心の抑制がとれるようになり、エゴ的な欲望や執着、情動の影響を受けない安定した状態が保てるようになっていきます。

 ここにも、感情を「抱いてはいけない」という文言は書かれていません。ただ、感情にコントロールされるのではなくて、感情をコントロールできる状態にまで自分を持っていくよう、修行を重ねなさい、といっています。

 

 感情をのものを悪者にするのではなく、そして好ましくない感情を抱いている自分を否定するのではなく、その感情の出処を探り、なぜ自分が今そうした感情を抱いているのか、掘り下げて考えていく。感情が出てきているからには、何か原因があるはずです。自分の中の、心の重しがその感情を引き起こしているわけです。重しが外れたら、同じ出来事が起こっても、以前のような悪しき感情は湧き起こらなくなり、感情そのものに苦しむこともなくなります。

 

 感情は、自分の心の内にある傷やトラウマ、執着、固定観念の存在を知らせてくれる、アラームのようなものです。アラームを責め、アラームを否定したところで、本体機能が変わらないままであれば、また繰り返し似たような場面でアラームが鳴り続けることでしょう。