自由と孤独

 長年内側にため込んできた感情を浄化する方法はいろいろありますが、一番効果的で即効性があるのは、「誰かに話す」ことです。

 癒しの過程で他者の助けが必要なのが人間です。ただし、自分がずっと抱えてきた感情を誰それ構わず吐き出せば、当然弊害もあります。理想的なのは、”地に足の着いた、落ち着いて理性のある、自分が信頼できる他人”を見つけることです。話す相手に受け止める許容がなければ、自分が吐き出す負の感情にその人が圧倒されてしまう可能性があります。

 

 話す以外にも、「書く」ことでも感情の浄化はできます。紙やノートに書くだけでなく、今は様々な媒体があるので、ブログやSNSなどで自分の考えや気持ちを吐露する人もたくさんいらっしゃいます。そうした媒体に書くことで、自分の気持ちに素直になり、思いが解放されていくこともあると思います。

 ただ、私がそういったブログなどを拝見して感じるのは、書いているうちにそれを読んでくれている人の反応を気にするようになり、次第に本心を書くことより、読者を満足させることにエネルギーを注ぐようになっていき、内容がどんどん遠慮がちになっていくパターンです。もちろん、読者を満足させることがメインの目的であればそれで構わないと思うのですが、自分の本当の気持ちを発信することが本来の目的なのであれば、周囲の反応は初めから気にしないと強く決意するか、影響が極力及ばないようなやり方を採用した方が良いかもしれません。

 不特定多数の人に受け入れてもらうことと、自分の本心を表に出すことは、本来両立しないものです。

 

 ネット上でも、自然発生的にコミュニティーは出来上がっていきます。そういう場に”所属”してしまうと、そこにいるメンバーを意識せずに好きなことを書くことは難しくなるのではないかと思います。

 実生活でもネット上でも、自由が一番ですが、自由には孤独がつきものです。