春先の決断

 だいぶ春らしくなってきました。春を学年の区切りとしている日本は、春が切り替えの時期であることを昔から感じ取ってきたのでしょうか。

 毎年節分を皮切りに、空気感が変わっていくのを体感してきました。本格的な春を迎える前のこの時期に、新しい一年に古いものを持ち越さないよう、個人的に”清算”を行う方も多いようです。春先は、気づきや浄化が起こりやすい時期です。具体的な行動に結びつけられたら、変革と軌道修正が一気に進むことでしょう。

 

 問題の多い娘の部活は、この半年の間で3人もの退部者が出ているのですが(その他休部者が1名)、先日私が用事で娘の中学校を訪れた際、辞めた3人の子のうちの1人が、私の姿を見つけてわざわざ声をかけてきてくれました。「部活辞めました!」とハッキリした声で伝えたその表情は、生き生きと輝いていました。思わず私も、

 

「そうなのね。おめでとう!」

 

 と言っていました。一般的には、部活を辞めたということはネガティブに取られることなのかもしれませんが、私は様々な事情を知っているので、勇気を出して辞める選択をしたその子の決断力を褒めてあげたかったのです。部活を続けるのが良いとか辞めるのが良いとかいう問題ではなく、この場合、周囲の声に惑わされず、心の声に従って、自分の信じる道を選んだことが素晴らしいと思いました。辞めてスッキリした、何かが取れました、と笑顔で話すその子の表情は、本当に明るく見えました。きっと、これから希望に満ちた新しい道が用意されていることでしょう。

 

 

 世の中が変革期を迎えている中、これまでの古い体制が、今という時代と今の子供達に合わなくなっているという事態は、様々な分野で起こっていることです。誰かが勇気を出して声を上げたり、行動を起こすことで、世の中の人々の意識が喚起され、気づきが促されていきます。そうすることで、社会が動き、システムが変わり、常識が変わっていきます。

 

 変化が起こる際には、必ず抵抗が生じます。個人的に変革を起こそうとした時に、何かしらの妨害が入るのは、ごく自然なことです。それは内なる声だったり、物理的な障害だったり、周囲の意見だったりすることでしょう。けれど一番大きな抵抗は、自分の中にある恐れであることがほとんどです。自分がこの決断をしたら、何かを失うかもしれない。周りから攻撃されるかもしれない。そんな恐れが根底にあるものです。

 

 変化を起こすためには、まずは内なる恐れに打ち勝たなくてはならないため、勇気と決断力とエネルギーがいります。私は、強い意志でもって行動を起こす人を見ると、心からエールを送りたくなりますし、常々そういう人を応援しています。内なる恐れに打ち勝つことほど困難なことはありませんし、更に行動に繋げるにはもう一歩進む必要がありますから、パワーがいります。

 世の中を変えてきたのは、こうした1つ1つの勇気と行動であり、これからもそうであろうと思います。人間の行動には波及効果がありますから、どこかで変化が起こると、更にその変化の波が広がっていきます。

 

 誰かの勇気ある決断と行動を見ると、嬉しくなります。