タロットとは

 タロットはいつからあるのでしょうか。実は、タロットの正確な起源は誰にもわかっていません。ヨーロッパのイメージが強いタロットですが、古代インドでは既に原型となるカードが存在しており、一説によると、インドや極東にあったタロットが十字軍の際にテンプル騎士団によってヨーロッパにもたらされたとされています。また、東インド発祥といわれるジプシーによって、ヨーロッパ各地に伝わったともいわれています。15世紀頃から、印刷技術の発達もあり、ヨーロッパ中でゲームの要素も加わりながら広がっていきました。(トランプはタロットから発生したといわれています)

 

 19世紀末には、神秘主義ブームの流れの中で、Dr.アーサー・エドワード・ウェイトによって、現在最もポピュラーなタロットである”ウェイト版”が編纂されました。その後も様々な神秘家や画家達によって次々と新しいタロットが産み出されていますが、ほとんどのものが、この”ウェイト版”を基に作られています。

 

 タロットには、遥か古代エジプトやギリシャ、ユダヤ(カバラ)の教えや東洋思想、キリスト教、数秘術、占星術、またその他数多くの秘教的教えやシンボリズムが凝縮されています。先人たちの叡智と教えが、この78枚のカードにぎっしりと入っているのですね。

 

タロットはなぜ当たるのか

 タロットというと、「なんか怖い」という方が多いです。タロットが自分の内面の深い部分を見せてくれるものだと本能的に感じているので、浅い意識の部分である自我意識が、”怖い”という反応をみせるのでしょう。

 

 しかし、実際タロットが”怖い”ものであるかというと、決してそんなことはありません。確かに、自分(自我意識)で封じ込めていた思いや、見ないようにしていたことが明るみに出るので、ドキッとすることはあります。でもそれは、「その生き方はあなた本来のものではないよ」という、タロットからの愛あるメッセージなのです。そしてタロットは、必ず「こうした方が、あなたの本当の望みを叶えられるよ」というアドバイスも送ってくれます。この場合の「望み」というのは、例えば”お金持ちになりたい”とか”有名になりたい”といった、自我意識(エゴ)や虚栄心からくる表面的な望みとは異なります。「あなたが生まれる前から抱いてきた、あなた本来の、魂の底から喜びを感じられる望み」のことです。

 

 おそらく、限りなく魂本来の望みに近い生き方をしている人であれば、”怖い”という反応はみせないでしょう。どこかで、本当の自分が望んでいる生き方から外れていることを感じとっている場合、それをタロットに指摘されることを恐れてしまうのです。

 

 

 人の意識の9割は、潜在意識が占めているといわれています。実は、私たちが普段自分の意識だと認識しているのは、ほんの1割に過ぎない顕在意識の部分なのです。タロットは、この潜在意識を映し出してくれるものです。潜在意識の部分には、私たちが生まれる以前の記憶からさかのぼり、先祖代々受け継いできたものも含めた全ての記憶が刻まれているといわれています。そして、そこには私たちが生まれる前に決めてきた、「この世に生まれてきた目的」や「使命」といった情報も入っているのです。それは、普段はなかなか認識できていないものです。ですから、タロットは一見、「え、嘘でしょ?!」といった答えを出してくることもあります。なかなか信じたくない気持ちになることもあるでしょう。しかしそれは、多くはエゴや虚栄心に満ちている自分の表層意識の抵抗なのです。自分の本当の望みは、自分自身が知っています。タロットは、普段は自分で認識することがなかなか難しい深層意識にアクセスし、高次の意識を気づかせてくれます。自分本来の生き方に軌道修正してくれます。

 

 タロットは、人生という航海の、さながら羅針盤のようなものです。決して本当に怖いものではなく、実際は愛に溢れていて、優しく、時には厳しく教え導いてくれる頼もしい教師なのです。